写真よもやま話
写真やカメラに関するよもやま話を語ります。
写真という言葉
わたしたちは「写真」という言葉を普段何気なく使っていますが、
そもそもこの言葉はいつ頃から使われるようになったのでしょうか?
ウィキペディアによると日本語の「写真」という言葉は、中国語の「真を写したもの」から作られたとされています。
なぜ中国語かと思いますが、1860年に横浜に日本最初の写真館を開いたオリン・フリーマンは、
もともと中国で写真館を経営していましたので、その頃中国語に訳され日本に伝わったのでしょう。
1862年(文久2年)に坂本龍馬の肖像写真を撮影したことで有名な上野彦馬が長崎に開業した写真館は
「上野撮影局」という名前であって「写真館」という名前は使われていません。
NHKの大河ドラマ「龍馬伝」では、龍馬がこの時の写真を撮影してもらうシーンがありました。
この時、福山雅治演じる坂本龍馬は「写真」ではなく「ふぉとぐらふぃ」という言葉を使っていました。
大河ドラマは専門家が入って時代考証を行っていますので、この頃はまだ写真という言葉は使われていなかったのかもしれません。
1871年(明治4年)、官僚の蜷川式胤の依頼で、写真家の横山松三郎が荒れた江戸城を撮影し、
その写真の一部が翌年、蜷川によって『旧江戸城写真帖』として編集されています。ここでは「写真」という言葉が使われていますので、
いずれにせよ1862年からの9年間のどこかで使われ始めたのは間違いないでしょう。
一方、写真を意味する英語のphotographを日本語に直訳すると、photo(光)+graph(画)となります。
つまり光の絵という意味で日本語としてはこちらの直訳の方が自然な感じがします。
そもそも写真が真を写すものとは言い切れないことは、これまでの歴史の中で偽造された写真が政治や
事件で使われてきたことを知っている我々には当たり前のことになっています。
実際に「写真という言葉はおかしい」と「光画」を使っている写真家もいます。
「わかっちゃいるけど止められない」という唄がありました(古っ!!)が、保守的な日本人の性格なのか、
まだ写真は真を写すものと信じている人が多いのかわかりませんが、
結果的に「写真」という言葉は140年以上経った今なお使われ続けています。